債権者
債権者とは?
弁護士や金融機関関係者との話でよく耳にする「債権者」「債務者」という単語の意味の説明と、民法の最大の難所だといわれる債権者代位権という制度に関して解説します。
契約した相手に金を支払うよう要求できる地位にある債権者
「代金を支払ってほしい」「物を引き渡してほしい」と請求できる地位のことを債権と呼びます。そして、このような地位を有する人が債権者です。この地位は、契約と呼ばれる行為をしないと発生しません。
以下は具体例です。
世の中にはさまざまな契約が存在します。例えば、アパートを借りる際の賃貸借契約、土地を売ったり買ったりする売買契約などです。
売買契約の場合、売主は買主に売買代金を支払うように請求できます。また、買主は売主に対して土地を引き渡すよう、所有権をこちらに移すように要求できます。
売買契約と呼ばれる契約を結んだ結果、これらの要求ができるのです。売主と買主それぞれが、契約の内容を相手に要求できる地位を有する債権者なのです。
債権者と債務者の関係
「代金を支払ってほしい」「物を引き渡してほしい」などという義務の負担を、債権者に対して負う人が債務者です。
具体例を見ます。
例えば、土地の売買契約です。売主は土地を引き渡すという義務が生じます。一方、買主は土地の代金を支払う義務が生じます。
債権者に関する項目で見たように、売主は代金を買主に請求できる債権者です。そして、”それと同時に”買主に対して、速やかに土地を引き渡す「義務」も負担するのです。
売主は債権者でもありながら、買主から見ると債務者にもなっています。
このように、債権者と債務者は「表と裏の関係」になっているのがポイントです。
売掛金回収の最後の手段、債権者代位権
取引の中で、例外的な場面を想定している制度が債権者代位権です。債務者の有している売掛金から、債権者が強制的に金銭を回収できるものです。
では、具体例です。
例えば、土地の売買です。売主をA、買主をBとします。BはAに代金1000万を支払いません。
そして、Bは貯金がなく、金を支払えないという噂です。そのため、Aは土地の代金が回収できるか不安です。
ここに、Bと取引をしている、Cがいるとします。BはCに1000万円の売掛金がありました。そこで、Bが本来回収するはずだったCへの売掛金を、Aが代わりに回収して土地の売買代金に充当することができるのです。Bが無一文という特殊な場合で、しかもAが強制的に行うというのがポイントです。
法律は、具体例で理解することがとても大事です。上記で挙げた具体例を理解されると、実際の取引場面でも役に立つことが多いはずです。