つなぎ融資
一時的な立替え資金のことです。例えば不動産を買い替える際に、売却物件の代金を受け取る期日よりも購入物件の代金支払い期日が先に到来する場合には、一時的な資金繰り(借入)をする必要があります。この様に売却代金の受取(回収)までの「つなぎ」的な役割を果たすものを、つなぎ融資と呼ばれます。
例えば公的融資(公的機関が貸し出す住宅ローン。住宅金融公庫融資、財形住宅融資など)を受ける場合、物件が引き渡された時点、つまり所有権が自分に移転された時点で融資実行となります。
しかし、実際には融資実行までに、不動産会社や建築会社などに支払いが必要となるケースがほとんどです。
既に、資金に充分な余裕があれば問題は無いのですが、そういう方はかなり少ないと思われます。
そこで、一時的に利用するのがつなぎ融資です。
つなぎ融資が必要なケースは
例えば、新しく住居を建築して購入する場合が当てはまります。
新居を建築する場合、以下の順番で支払いが行なわれるのが一般的かと思います。
1.建築請負契約の成立時に建築会社へ支払う手付金
2.棟上の終了時に支払う中間金
3.建築終了時(住居完成時)に支払う残金
この3段階で、一番大きな支払いが3番目に当ります。
建物が完成しただけで、支払いが完了していなければ自分の所有物にはなりません。
仮に公的融資を受ける場合、残金の支払い時期に合わせて融資実行となるわけではないのです。
公的融資の実行は、住宅の引渡し完了後、その土地・建物が自分(融資申込人)の名義とならなければ、実行されないわけです。
なお、住宅の引渡しから融資実行までの期間はおおよそ1~2ヶ月必要とされます。
そのため、スムーズに住宅を手に入れ融資実行となるために、一時的につなぎ融資で資金の借り入れを行い、残金の精算が必要ということになります。
そして、1~2ヵ月後に公的融資が実行された段階でつなぎ融資を返済して行く、という流れになります。
なお、つなぎ融資を借り入れている期間は金利のみを支払い、公的融資の実行段階で返済を行なうという流れが一般的かと思います。
つなぎ融資注意点
つなぎ融資を利用するにあたって注意することは、金融機関につなぎ融資の利用が可能かの確認が必要になります。
つなぎ融資だけを単独で利用するということは、ほとんどの場合できません。
住宅ローンを融資してもらう同じ金融機関でつなぎ融資をしてもらうことになります。
つなぎ融資の取扱は全ての金融機関にあるとは限らないのです。
金利面などで有利な金融機関であっても、つなぎ融資の利用ができないとなると、利用できません。
つなぎ融資は、住宅ローンと違い抵当権などはありませんが、金利が高め(通常の変動金利と同等程度)の設定になっています。
仮に1,000万円のつなぎ融資を2.07%で半年間借入れした場合の利息は103,500円。
これに事務手数料、印紙代、融資手数料、振込み手数料がかかります。
特に印紙代は、借入額にもよりますが数万円単位となります。また、融資手数料も数万円単位となりますので、結構まとまった額が必要になります。
金利や諸費用を合わせると20万円以上になる場合もありますので、余裕を持った資金計画を立てる必要があります。
金利の支払いを少なくするため、借り入れの期間は短くなるよう施工業者(工務店、ハウスメーカー)と打ち合わせをおこない住宅ローンの申請や住宅の登記を早めにすむようにしましょう。
また、建物建築の支払時期・金額を把握することも大切です。
つなぎ融資は、金利や諸費用などの負担が増え、できれば使わないですませたいものです。
「住まいを買い換えるとき」に、つなぎ決済を使わないですむ同時決済があります。
同時決済とは、売り主側=抵当権抹消と所有権の移転登記と、買い主側=抵当権設定登記と住宅ローンの契約を買い主側への融資の実行と同一の日に行うことをいいます。
例えば、住まいを買い換えようとするとき、売り主側に住宅ローンがまだ残っているというのがほとんどだと思います。
現在の所有住宅を売却し、その代金で住宅ローンを完済、次の買い換え先の住宅資金に充てるというのが一般的です。
ところが、買い主側も住宅ローンを借りて買うということになります。
住まいの買い換え(中古住宅の売買)ではよくあるケースですが、売り主側の抵当権を先に抹消するために一時的に「つなぎ融資」を使うようになってきます。
この場合、金利や諸経費などの負担が増えることになります。
同時決済を使うことにより「つなぎ融資」を受ける必要がなくなり、金利や諸費用の節約になります。
ただし、同時決済を使うには、売り主側と買い主側双方のローンを扱う金融機関・不動産仲介会社などとの調整が必要になります。
金融機関によっては同時決済ができないこともあるので、事前に相談・確認してから対応することをおすすめします。