用語集

期限の利益

読み仮名:きげんのりえき

期限の利益とは?支払い遅延で分割払いができなくなる?

借り入れをしたり高額な商品を購入する場合には、返済金や代金を分割払いすることが多いです。しかし、返済を長期にわたって滞納した場合などには、分割払いができなくなることがあります。このことを、期限の利益喪失といいます。期限の利益とは、いったいどのようなことなのでしょうか。
今回は、期限の利益についてと、期限の利益がなくなる場合について解説します。

期限の利益とはどのようなことなのか?

借入金を返済する場合や、高額な商品を購入する場合、返済金や商品の代金を一括支払いすることは困難なことがあります。この場合には、返済金や商品代金を分割払いさせてもらうことが普通です。このように、支払を分割で行うことができることを「期限の利益」といいます。本来なら一括払いしなければならないところを、分割払いできるから「期限の利益がある」という考え方です。
期限の利益を認めて分割払いを設定する場合には、通常その旨を契約書に書き入れます。

期限の利益の中でも当然喪失事由とは?

場合によっては、期限の利益が失われる場合があります。これが「期限の利益の喪失」といわれるものです。期限の利益を喪失すると、債務者は分割払いができなくなり、残金を一括払いしなければならなくなります。
期限の利益喪失事由の中には当然喪失事由があります。当然喪失事由が起こると、当然に期限の利益がなくなって一括払いしなければならなくなります。
こうした当然喪失事由は、緊急性が高い場合に適用されます。たとえば、金銭消費貸借契約において、100万円を借りても、一括払いは不要で月々5万円ずつの分割払いにすることができたとします。これは期限の利益です。こうした場合に2回分以上支払を遅延すると分割払いができなくなり、当然に残金一括払いしなければならないなどの、期限の利益喪失事由を定めることが多いのです。これが当然喪失事由です。

期限の利益の中でも請求喪失事由とは?

期限の利益喪失事由には、もう1種類があります。それは、請求喪失事由です。
請求喪失事由は、その事由が起こっても当然には期限の利益はなくなりませんが、債権者の請求によって期限の利益を失わせることができるものです。当然喪失事由よりは緊急性の低い場合に利用されることが多いです。これらの期限の利益喪失事由を設定する場合には、契約書内に明らかにする必要があります。
期限の利益が使われる事例としては、たとえば、商品購入のローンの場合があります。50万円の宝石を月賦2万円で購入する場合などに購入者が所在不明になれば、期限の利益を喪失させることができるといった請求喪失事由を定めておけば、債権者は債務者と連絡が取れなくなったときに、商品の残金の一括払い請求ができます。

今回は、期限の利益について解説しました。分割払いについての重要な制度なので、正確に理解しておきましょう。

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